岡山カトリックセンター


計画地:岡山市

 

竣工年:2004

 

用途:教会施設

 (ホール、集会施設、共同住宅)

 

構造、階数:S造 0-3-0

 

延床面積:1,523㎡

1階エントランスホール
1階エントランスホール

 岡山市の中心部、後楽園にもほど近

い文教地区の一角にこの建築は計画さ

れました。

 カトリックの司祭、信徒の方々のた

めの施設です。聖堂建設を1期工事、

このカトリックセンターを2期工事と

してカトリック岡山教会改築計画が完

成しました。それは、信徒の方々の何

十年来の悲願であり、真に待ち望まれ

ていた施設でした。

 そのようなクライアントの真摯な思

いをどう形に昇華させ、キリスト教的

な世界観をどう表現するか?

それがこの建築のテーマではないかと

考えました。

 

3階廊下
3階廊下

 カトリックでは、聖堂を神の家と捉

え、そこを中心とした世界が構築され

てゆきます。信徒の方々はみな、その

神の家の家族としての共同体を形造っ

ています。

       ’祈り’

 

この行為こそがその共同体の根幹をな

すものであり、キリスト教的世界観の

核をなすものではないかと考え、デザ

インコンセプトに定めました。

 

’光の庭’
’光の庭’

 そこで、祈りの場である聖堂に付帯

する施設のカトリックセンターとして

は、どこにいても聖堂が見えること、

感じられることを重要視し、聖堂に面

するL字型の面をガラスカーテンウォ

ールで構成し、外部からの印象も明る

く、透明感のある開かれた施設を目指

しました。

 

 聖堂との間には中庭を設けました。

そこは、聖堂で行われる祈りの行為に

対して、魂の沈潜、また祈りの余韻を

感じ取れる場所となるよう、床に26

個のガラスレンガの光を埋め込みまし

た。26個のガラスレンガの光は岡山

にゆかりのある日本26聖人の方々に

由来し、その方々を象徴するとともに、

どんなに絶望的な状況でも祈り続け、希望を持って祈りを捧げるキリスト者に

とっては’祈り’とは’希望’でありそれは’光’であるのではないか、

そのように感じたからでした。

 

そしてその中庭は、’光の庭’と名付けられました。 

 

 

’われわれがキリスト者であるということは、今日ただ二つのことにおいて成立

 するだろう。つまり祈ることと、人々のもとで正義を行うことにおいてだ。’

                      ボンヘッファー 1944獄中手記

 

「きつかやろうね。辛抱するとよ。パードレさまもわしらもみんなオラショば祈

 りよるけん、二人がパライソ(天国)に行くやろうって思うとるとよ」 

                      遠藤周作 「沈黙」

 

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